以前働いていた会社で、話すスピードが速くて何言ってるのか、さっぱり分からないラインマネージャがいた。話しているときは、その考えに付いていくことが出来ないのだが、ひと度、「ちょっと整理しようよ。この論点ってさ・・・」とホワイトボードに向かい出すと、面白いほどわかりやすい図解がされた。
それまでは、お調子者だから出世できたのかな、と失礼なことを思っていたけど、物事を整理して論点を外さない人だからたどり着けたのか、と妙に納得した。
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ナゼ図解の本を何冊読んでも身につかない?
図解のスキルは別に営業だけに必要なものではない。事務仕事をしている私にも図解をしなくちゃいけない作業とかが降ってきたりする。ただ、毎回「あーでもない、こーでもない」と悩んで時間をかけた挙げ句、最終的によく分からない図が出来ているというお粗末な結果ばかり。
「どうしてこうもデザイン力がないのだろう」と思ってこれまで様々な本を購入してきた。同じような内容の本を何冊も何冊も。残念なことに、書籍にどれだけお金をつぎ込んでも、一向にわかりやすい資料を作れるようにはならなかった。
そこで、新しい本の購入を一度やめて、これまでに購入した本を再読してみた。そもそも著者の図解に魅力を感じられないものは容赦なく捨てたが、残った本を比較すると説いているルールはほぼ同じようだった。【情報整理】だ。
私はこの【情報整理】を軽く考え、上っ面ばかりを気にしていたため、図解するスキルが全く上達しなかった。
情報を整理するとはどういうことなのか
デザイン関連の本の中でも私が特に好きなのが、佐藤好彦さんの著された本。彼は著書の中で、情報整理の重要性を説いている。どの本も分かりやすいが、デザインを職業にしていない人に向けて書いた以下の本なんかがいいのではないだろうか。
ビジネス教養としてのデザイン
お寿司屋の板前さんが魚をさばくときのように、不要な部分はばっさりと捨てて、ネタを丁寧に切り分けます。こうした下準備がきちんとできるようになると、デザインしやすくなりますし、質も高まってくることでしょう。
(p.36「第一章のまとめ」)
「魚をさばく」作業になぞらえられているように、コアとなるメッセージを掴むというのは、不要な部分をバッサリと切るという勇気を求められる作業だ。ここで思いきれないと、成果物の出来は期待出来ない。
情報を整理し、図を作り直す
そこで、練習のために、これまでのブログにアップロードしてきた図を見直すことにしてみた。まだまだ分かりにくいのだけれど、もとのゴミ図解と比較するとややマシになった。
(再)トライ−1:文字情報の整理
まずは、文字情報を整理。これは図が入っていないので、図解ではないかもしれない。
本文で、グダグダと書いたことをまとめたらこんなこうなった。
イラストなどを入れなくても、それなりに分かりやすくなるのだと改めて知る。
繰り返しの作業だからと円になるようにしてみたり、いろんなパターンが考えられるのだろうけど、基本に忠実にシンプルにすることに注力した。
再トライ-2:補助となる文字情報を追加
前のパターンとは反対に、図に補助情報を入れて整理。
最初の図はシンプルかもしれないが、情報が少なすぎて不親切な感じもあった。特に、最初の図のパターン1は、データを取りまとめて最終ファイルを作っているようにも受け取れる。
説明の文章がまだまだ下手くそなのだけれど、補助情報を付記したことによって、最終ファイルに他のファイルからのリンクがあることが分かるようになった。
再トライ-3:情報の整理+補助となる文字情報の追加
これは未だにもっと別の整理方法があるように思っているのだけど、現時点での修正案。
どうして当初の図のようなゴミ図解が出来上がったのか、当時の私に尋問したい気持ちでいっぱい。何を伝えたいのか不明。
当初に比べて、文字情報の量が一気に増えているが、それは時間軸を加えて、説明する作業の範囲を広げたことにもよる。
文字は増えたが、作業が変更された部分など、図のロジックは幾分明確になったように思う。(ここでもまた説明文の文章力のなさにより、作業内容が誤解を与えるような表現となっているのが反省点。)
図解スキルの根底にある論理力を鍛える
普段何気なく図表などを眺めて、「分かりやすい」と思うことはあっても、これまで「どうして分かりやすいのだろう」と立ち止まって真剣に考えることをしてこなかった。
しかし、分かりやすい図解の背景には、徹底的な【情報整理】があり、論理的に構成されているから分かりやすいにつながっているのだと考えると、脳内で「地上の星」を再生したくなった。いや、再生した。
同時に、自分の勝手気ままなブログだからと、あまりにもいい加減に文章や図を作っていたことを猛省。分かりやすい図解デザインとは対極に位置している。
すぐに習慣とするのは難しいだろうが、日頃から土台となる論理力の訓練を行い、情報を正しく整理することで、図解力を鍛えていきたい。