エラーメッセージで数時間


下っ端の事務員の仕事の中には《決まったフォーマット》を使って《言われたとおり》仕事をする、というのが多い。この《決まったフォーマット》というのが、見た目だけを重視する人によって作られたものだと、事務員のタスクは不必要にハードになる。

仕事の面倒臭さというのは、大きく以下の要素で決まるように思う。

作業の面倒臭さ=(そもそもの面倒臭さ)✕(前の工程にいる人のクオリティの低さ)✕(最終提出先の求めるクオリティ)

そうすると、自分の作業の面倒臭さが緩和されるには以下の3つのいずれかが有効。

  1. そもそもその業務がなくなる。
  2. 前工程のアウトプットのクオリティが上がる。
  3. (自分の)提出先のアウトプットへの期待値が下がる。

どれも自分ではコントロール不可だが、あまりに作業が面倒くさいと2.の前工程の担当者へ怒りの矛先が向いてしまいがちとなる。なぜなら、1.と3.は上司などマネジメントであることが多く文句が言えない一方、2.を担当しているのは他チームの同僚だったりするからだ。

事務員が受け取る《決まったフォーマット》は、前工程のアウトプット。このフォーマットの汚さにイラついた話だ。

作業をする事務員が苦しむフォーマットとは

事務員はエクセルに触れる機会が多い。私達が対応する業務で使うファイルは、エクセルである必要があるのかと首をかしげたくなるようなものまで、本当に何でもかんでもエクセル。もちろん、最終的にデータの集計をする必要がある、計算を行う必要があるなどの理由でエクセルが最適である場合が多々あることは承知している。

では、一体どんなエクセルフォーマットに対して文句を言っているのか。

不要にセルが結合されたフォーマット、に対してである。(結合が必要であると判断できるものについては、多少面倒さを感じても諦めがつく。)

《アウトプットの見た目を整える》ために、セルの結合が使われる場合がほとんだだと思うが、これにより場合によっては見た目を整える作業が難航するのだ。

印刷の段階でユーザーを苦しめる列の結合

エクセルでの見た目を整える作業は、そもそものフォーマットづくり(表組みなどのレイアウト)と印刷時の2回発生する。

シンプルな申請書や報告書であれば、後者の作業はほぼ不要であるが、一つの欄への入力内容が多くなる報告書などは印刷前にすべての内容が表示されているかを確認する必要がある。

「(エクセルの幅調整なんて)ダブルクリックすればいいだけじゃない?」と思う人がいるだろうが、それはよく練られたエクセルの表にだけ当てはまる。

行の高さを調整しようとダブルクリックをしたら、一行分の高さに調整されてしまった、という経験をしたことはないだろうか。この現象は、列の結合をしている表で見られるものだ。

【列の結合のない表の場合】

autofit_row_height

【列が結合されている表の場合】

autofit_row_height2

※【列の結合のない表の場合】を巻き戻しているわけではありません。

ちなみに、結合されたセルは**コピペも面倒**という入力時のデメリットもある。

おかしなフォーマットが生み出される背景を想像する

同じページに他にも表があって仕方なく列が結合されているということもあるだろう。しかし、地域本社のある部署から渡されるフォーマットの8割は、残念ながら無意味に結合されている。

《Excel方眼紙》なら、「あー、作成者は方眼紙信奉者か」と軽く嘆いた後に、諦めがつくのだけど、それほどには方眼紙への愛も感じられない。

非常に勝手な想像だが、恐らく以下のような経緯で使いにくいテンプレートが日々生み出されているのだと思われる。

  1. 「表を作る」→
  2. 「上司に見せる」→
  3. 「上司の要求を入れる」→
  4. 「上司に見せる」→
  5. 「上司の必殺技:朝令暮改が発動される」→
  6. 「とりあえず見た目が合ってればいいとの結論を下す」→
  7. 「関係者へ配布される」

【ドラフトを作る】(1)

【上司からのリクエストを反映させる】(2 & 3)

赤枠で囲んだように、他のデータを入れるようにリクエストが入ったりする。

【結局、前の話に戻る】(4〜7)

リクエスト反映版を見たら、それほどでもないと感じた上司が「やっぱりいいや」と言ったりする。でも面倒くさいから、上司がいらないといった部分だけ削除して、セルの結合を放置した表を完成版フォーマットとして全体に配布する。

何度も同じ苦しみを味わうのは正しくない

さて、私がイラついているタスク、全体像は下図のような感じ。

Monthly reporting process

わかりにくいのだが、私がセルの調整をしているのは2回ある。1回目は、自分の拠点のレポート作成時(データを入力後、提出)、2回目は、全拠点のレポートの印刷設定時(印刷して内容確認)。1回目は、自分の拠点分1つだけ。2回目はそれを10以上繰り返す。

統括チームは、提出されたレポートを単純に結合するだけなので、まとまったファイルはただシートが増えただけのものなのだ。

もちろん、各拠点がそれぞれ最終アウトプットのことを考えて行動すればいいのだが、それがしてもらえないというのは、そもそもの作りに欠陥があると修正を考えるべきところではないのだろうか。

最初は、まさか私も、こんなにバカバカしいタスクがルーティンとして存在していることが信じられず、「今月だけが例外なんだろう」とバカ正直に全てを手作業で調整したが、拠点数があるため、**1時間以上**かかる大仕事だった。翌月、これがルーティンだという衝撃の事実を知って、会社のいう効率化って字面だけなんだと学んだ。

でも正面から文句は言えない:マクロで対応

苛ついてみたり、偉そうに「べき論」を書いたところで、正面切って文句を言う勇気はない。幸か不幸か、件のファイルはエクセル。私が取れる行動は、マクロを作ることくらい。文句を言って関係を悪化させるくらいならば、おとなしく従っておくに限る。

ただ、他の拠点も何とかしてこのレポートを効率的に作成しようと思っているのだろう。過去からの努力の後が私を反対に苦しめる。また拠点ごとに進行中のプロジェクト数・報告トピック数が異なることもあり、データ数も一定ではない。

いくつも条件分岐させる必要があり、1つのマクロで完結させるのが難しく感じたので、潔く諦めて次の2つに分けることにした。

  • 各シートの印刷設定をし、シートの順番を並び替えるマクロ
  • 行の高さを調整するマクロ

2つに分けることにより、行の高さ調整マクロはアドイン化して他のファイルでも使えるような形にすることができた。同じ統括チームから配布されるフォーマットは、不要なセルの結合が多いので、活躍の頻度が高く、結果として分けたことがプラスに働いている。

エラー処理が甘くて数時間

しばらくの間は機能していたマクロだったが、今日、初めて処理に失敗した。

1つ目のマクロの処理の前半で止まってしまう。何が悪いのか画面とにらめっこをしていたが全く分からない。変な列やシートが追加されている形跡はない。途中、別の仕事もしながら、ウンウンとうなり続けること数時間、原因が判明。

シートの数枚の名前の後にスペースが追加されていたことによる不具合だった。本来【シート名】となっているべきところ、【シート名 】(最後にスペースが入っている)となっているなんて目視じゃ気づけない。

「単に一つのファイルにシートをまとめるくらいちゃんとやってほしいんだけど・・・」とイライラが最高点に達したが、冷静になって考えると、私がエラー処理をすればいいだけ。

どういうエラーが起きる可能性があるかということについて、まだまだ考えが及ばない。こういう経験がきっと問題なく動くマクロを作る糧になるのだと信じたい。

本末転倒な速さ信仰

自分で対応出来るところは自分でも対応するようにするけど、そもそも論として、全体を管理すべきフォーマット作成者・取りまとめ者(今回の場合は同一人物)の仕事が雑なのがこの作業の問題点のような気がしている。というのも、上司のために対応しているこの業務、手作業だと1時間。

「他の拠点も苦しんでるんじゃないか」と思い、試しに「印刷用に調整済みのものが必要でしたらどうぞ」と、印刷ボタンをポチればいいだけのPDFを送ってみた。(もちろんしおり付きで)

 

やっぱり他の拠点でも需要があった。印刷せずとも見やすいデータファイルであればそんなに需要はないのかもしれないが、件のファイルは印刷せずに読むのが非常に難しい。だから、みんなこんな作業に時間をとられることのバカバカしさを感じつつも作業をしていたらしい。

嫌々ながらも作業をしていたところはまだ良いが、途中で力尽きた拠点は、端からレポートを提出しておしまい、他の拠点のレポートを確認していない状態だったようだ。本末転倒である。ある程度時間を割いて無意味なレポートを作っているだなんて悲しすぎる。(私の所属している拠点の営業チームはこのレポートを元に他の拠点に連絡を取ったりすることもある。)

統括しているチームなり人なりが、自分のタスク(だけ)をいかに速く完了させるかということを優先させた結果、このような事態に陥っているように思える。

確かに仕事にはある程度速さが要求される。しかし、一人が速さ(≠効率)を追求した挙句、他の全員が時間をとる結果となっているのであれば、その速さってみんなにとっては迷惑でしかない。

私は末端で働いているだけなので、私が全体と思っている部分が実は限られた部分でしかない可能性もある。統括者がちゃんと全体最適を考えてこのようになっているのであれば文句は全くないけど、残念ながら現状、そんな風には全く思えず、彼らの雑な仕事で全体の仕事量が増えているようにしか見えない。

もし改良しろと言われたらどうするか

一からフォーマットを考え直すのは、もちろんアリ。ここまでぐちゃぐちゃになって、どの拠点のフォーマット(列幅など)がオリジナルに近いのか判断がつかない状況では、作り直しが一番カンタンで、それこそ一番速いかもしれない。

次は、一番マトモそうな拠点のフォーマットを元に手直しする方法。報告の字数を制限してしまう。現在のフォームでは字数が制限されていないから、フォントサイズを小さくしたり、複数行結合するなどして大量に書き込んでいる拠点もある。字数制限をすれば、フォントサイズのばらつきによる統一感のなさが解消されるし、行の高さの調節作業も不要となる。

個人的には、内容も見直す方がいいと思う。現在のレポートはあまりに自由度の高い定性レポートのため、拠点ごとに内容の粒度が異なり、それが分量の違いに少なからず影響していると思うからだ。

これらすべて組み合わせると、かなり標準化されたレポートが出来上がる。ただし、そうすると今度は事務作業だけに焦点があたったものになってそうでもある。

結局は愚痴りたかっただけ

ここまでそれらしいことを書いておきながら、結局のところ私は、自分のマクロがうまく動かなかったのを誰かのせいにしてしまいたかっただけである。私が完璧にエラー処理できていたら、統括担当者たちの仕事の甘さに「仕方のない人だな」と呆れながら黙って仕事をしていたはずだ。

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